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(3) マレーシア政府における行政サービス・ネットワーク

マレーシアでは、総理府のマレーシア行政近代化・管理計画局の下に、全国540の郵便局をネットワーク化し、公共料金支払のオンライン化と共に郵便局の窓口で複数省庁の事務もオンライン処理する「行政サービス・ネットワーク」プロジェクトが進められている。

 

表4−6 マレーシアにおける郵便局窓口での提供サービス

道路運送省 ・運転免許の更新
・道路税の更新
ロイヤルマレーシア警察署・交通違反金の納付
ビジネス登録庁 ・ビジネス・ライセンスの更新

資料出所:小田島 労「行政情報化の推進に向けて」『ESTRELA』1996.8

 

行政サービス・ネットワークの計画は1991年に策定され、道路運送省とマレーシア警察庁、ビジネス登録庁の3省庁の事務処理の統合化実験が行われ、現在運転免許の更新手続きが実用化されている。政府機関である道路運送省での手続きは無料であるが、郵便局は民営化されたため100円相当の手数料が必要である。省庁にとっては経費の節約となり、住民にとっては身近な場所でサービスを受けられ、郵便局にとっては業務(収入)の拡大となる。ビジネス登録証の更新や道路税の更新についても実用化実験が行われる予定である。

行政サービス・ネットワーク以前に総理府行政実施調整庁によって、国土開発関連省庁間や遠隔州州都とクアラルンプール間を結ぶ「開発行政ネットワーク」が運用されている。これは「第6次マレーシア計画」に基づく開発プロジェクトを管理する省庁間ネットワークで、1970年代に築かれた省庁ごとのコンピュータネットワークが1980年代はじめに統合されたものである。経済企画庁によるプロジェクト承認、大蔵省による予算配分、行政実施調整庁による実施状況の確認、会計庁による経費支払いを中心に、各省庁とのやり取りが行政実施調整庁の中央コンピュータを介して行われる。統合前には報告先が複数あったものが、統合後は行政調整庁の中央コンピュータに一本化された。

マレーシアでは、今後クアラルンプールからプトラジャヤ地区へ遷都の予定があり、2020年における情報通信立国を目指したマルチメディアスーパーコリドー計画を検討している。

 

 

 

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